所得税

所得税の計算方法

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多くの人が間違う所得税の計算

所得税は、課税所得に「所得税の税率」を掛けることによって、所得税額を出します。

所得税の税率は「累進課税」といって、課税所得が大きくなるほど税率も上がっていくようになっています。

累進課税という制度については、だいたいの人が知っています。

しかし、多くの人が、この累進課税の計算方法を間違えてしまいます。

これは、次の例を見るとよくわかります。

課税所得が500万円の場合の、所得税額はいくらになるでしょうか?

所得税の税率の表を見ると、330万円~695万円の課税所得の場合の税率は20%となっているので、

所得税額は、500万円×20%=100万円 となりそうです。

しかし、これは間違っています。(ほとんどの人が、このように間違います)

超過累進課税とは

日本の所得税は単純な累進課税ではなく、「超過累進課税」という方式を採用しています。

「超過」とは、”ものすごく厳しい”ということではなく、

「範囲を超えた分だけ、次の段階の税率を適用していきますよ」という意味なのです。

たとえば、課税所得が195万円の人の所得税を計算してみます。

課税所得が195万円の税率は、表より5%なので、195万円×5%=97,500円 となります。

これは、正解です。

それでは、課税所得が1万円だけ増えて、課税所得196万円の人の所得税はいくらでしょか。

課税所得196万円は、表より、税率が次の段階の10%となるので

196万円×10%=196,000円 とやってしまいそうですが、これが違います。

えっ!、なんで違うんですか??
よく考えてごらんよ。稼ぎが1万円増えただけなのに、いきなり税金が10万円も増えたら、逆に大損じゃないか

超過累進課税の計算

超過累進課税の場合は、課税所得が196万円(すなわち税率が10%)であっても

195万円分の税率は5%で計算するのです。

そして、195万円を超えた1万円分だけに、次の税率の10%を適用するのです。

つまり、課税所得が196万円の所得税の正しい計算は、

195万円×5% + 1万円×10% = 98,500円 となります。

なるほど、これなら給料が増えても、税金が増えて逆に損することはないですね
うん。超過累進課税という方式は、そういう逆転が起きないところがメリットなんだ

課税所得500万円の所得税の計算

超過累進課税がわかったところで、課税所得が500万円の場合の正しい所得税の計算をしてみましょう。

課税所得500万円の場合も、最初の195万円分は税率5%で計算します。

① 195万円×5%=97,500円

次に、195万円から330万円までの、135万円分については、税率10%で計算することになります。

② (330万円-195万円)×10%=135,000円

最後に残りの、330万円から500万円までの、170万円分については、税率20%で計算します。

③ (500万円ー330万円)×20%=340,000円

そして、①+②+③の合計が、所得税額となります。

97,500+135,000+340,000=572,500円

っていうか、こんなの知らなきゃ、誰も所得税なんて計算できないに決まってるじゃないですか!
うん、ほとんどの人が知らない。
だから、いつも所得税を多めに計算してしまう。

次のように、税率が20%のときは、20%だけを使うのではなくて、

5・10・20%の3つの税率を使うんだということを記憶しておくといいよ。

でも、こんなにめんどくさいんなら、計算する気にもならないですよ
そんな君みたいな人のために、もっと簡単に計算する方法がある

速算表を使った簡単な所得税の計算

さきほどように、超過累進課税である所得税を計算するには、一つ一つの範囲に分けて計算をして、最後に合計する必要があります。
これでは、とても面倒なので、もっと簡単に計算する方法があります。
それは、所得税の速算表を用いた計算方法です。
下にある表をつかいますが、使い方としては、課税所得にそのまま税率を掛けたあと、表にある控除額を引くだけです。

この速算表のすごいところは、課税所得に税率をそのまま掛けて、控除額という魔法の数字を引くと、なぜか超過累進課税で計算した結果と一緒になるところです。
この「控除額」は、よく所得控除や基礎控除と勘違いされることがありますが、まったく関係がありません。


ちょうど、階段状の踊り場部分(黄色)にあたる部分で、全体の四角から踊り場部分を引くことで、階段状の所得税を計算したことになるものです。

うーん、よくわからないな…
課税所得500万円のCさんの例で考えるとわかりやすいよ

課税所得500万円の速算表を使った計算

あれ、ほんとだ。バラバラで計算したときと同じ結果になった!
税率が20%になる課税所得330万円~695万円の範囲なら、踊り場の黄色は常に427,500円というところがミソだね。

速算表を使った、簡単な所得税の計算方法

課税所得 × 税率 - 控除額 = 所得税額

税額控除

税率を掛けて所得税が出た後に、さらに税額控除といって、税金を安くする制度があります。

税額控除は、控除額そのものが所得税から減るので、インパクトが大きいです。

住宅ローンがある場合や、株などの配当金がある場合などが該当します。

⇒税額控除をくわしく

わー、税額控除の方がずっとお得じゃないですか!
こっちを教えてくださいよ
残念ながら、まだ君が使える税額控除はないね。
まあ、家を買うときには必須の知識だけどね。
所得控除とは別に、税額控除というものがあるということは覚えていた方がいい

復興特別所得税

2013年~2037年の25年間は、東日本大震災の復興のために、所得税に対して2.1%の復興特別所得税がかかることになっています。

所得税 × 2.1% = 復興特別所得税

最終的な所得税

税率を掛けて出した所得税から、
税額控除を引き、復興特別所得税を足したものが、
最終的な所得税になります。

所得税 - 税額控除復興特別所得税最終的な所得税

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