事例

事例3 年収300万円、独身、ふるさと納税ありの税金

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問題

事例1のサラリーマンが、ふるさと納税をやっている場合の税金を考えてみます。

条件

・年収300万円

・独身

・社会保険料の合計額 439,160円

・その他の条件
寄付金合計2万円のふるさと納税をした
A市10,000円寄付 (返礼品:3,000円相当の果物)
B町10,000円寄付 (返礼品:3,000円相当の肉)

STEP 1 「給与所得控除」の額を出す
STEP 2 「所得」の額を出す


計算方法は、⇒事例1と同じです。

STEP 3 「所得控除」の合計額を出す

所得税の所得控除では、ふるさと納税を行っているので、「寄付金控除」の青いカードを使うことができます。

この時の控除額は、「寄付金合計額ー自己負担金2,000円」なので、
20,000円ー2,000円=18,000円が控除額となります。

寄付金合計額 ー 自己負担金2,000円 = 寄付金控除の控除額

このため、所得税の所得控除は事例1と比べて、青い陣地全体が18,000円分だけ広がったことがわかります。

住民税については、所得控除の段階では「寄付金控除」を使用しません。
このため、住民税の所得控除は、事例1と同じ、「基礎控除」と「社会保険料控除」だけとなります。

住民税は、所得控除の段階で「寄付金控除」は使わない

STEP 4 「課税所得」の額を出す

住民税の課税所得の赤い陣地は、所得控除の青い陣地が小さかった分、かなり大きくなっていることがわかります。

住民税は、税率を掛けた後の「税額控除」で税額を減らすことになるので安心してください。

STEP 5 課税所得に「税率」を掛ける

税率は事例1と同様に、
所得税は5%
住民税は10%
です。

STEP 6 微調整をする

所得税の微調整

所得税は、いつものように復興特別所得税の2.1%を足すだけです。

住民税の微調整

住民税の微調整は、いつもと少し違います。
調整控除の2,500円を引くところまでは同じです。

次に、住民税のふるさと納税の減税額となる、税額控除を引きます。

ふるさと納税分の税額控除

税額控除の控除額は次のように計算します。

ふるさと納税の住民税税額控除の計算

基本分と特例分の二つに分けて行います。

<基本分>
(寄付金合計額-自己負担2,000円)× 住民税率
=(20,000円-2,000円)× 10%
= 1,800円

<特例分>
(寄付金合計額-自己負担2,000円)×(100%-住民税率-所得税率×1.021)
=(20,000円-2,000円)× (100%-10%-5%×1.021)
= 18,000円  ×  84.895%
= 15,281円

<基本分> + <特例分> = 税額控除
1,800円 + 15,281円 = 17,081円

このように、ふるさと納税では<特例分>という特別ルールを使うことによって、
どのような寄付額でも、自己負担金の2,000円を引いた額の分だけ、税金が少なくなるようになっています。

ただし、この<特例分>の額には上限ルールがあります

<特例分>の上限ルール

「調整控除後の住民税所得割額の20%」が<特例分>の上限です。

事例3では、「調整控除後の住民税所得割額」は、112,500円 でしたから、

112,500円 × 20% = 22,500円

22,500円が<特例分>の上限となります。

先ほどの計算では、<特例分>が15,281円でしたから、この事例では上限を超えていないことになります。

もし、上限を超えて寄付をした場合は、超えた分は自己負担となってしまうので注意が必要です。

上限を超えた分は自己負担となるふるさと納税は上限ギリギリに抑えるのが一番効率的

⇒上限ギリギリのふるさと納税額の計算方法

解答

年収300万円、独身、ふるさと納税ありの税金は

所得税 55,200円
住民税 100,300円

となります。

社会保険料は439,160円だっだので
手取りは、2,405,340円ということになり、
事例1と比べて、手取りが18,100円増えていることがわかります。

ふるさと納税なし(事例1)と比べて

事例1と比べて、ふるさと納税で合計20,000円の寄付をすることによって、税金が約18,000円減った(手取りが18,000円増えた)ことがわかります。

20,000円は自分の手持ちから支払っているので、実際には20,000円―18,000円=2,000円は自分の持ち出しです。

しかし、寄付をすることによって、6,000円相当の返礼品をもらっています。

すなわち、実質2,000円で、6,000円相当の返礼品を得たことにります。

最終的にこの事例では、4,000円の得をしたことになります。

⇒ふるさと納税とは

⇒ワンストップ特例で簡単にふるさと納税

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