事例

事例1 年収300万円の独身者の税金

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問題

基本的なサラリーマンの事例として、年収300万円の独身者の税金を考えてみます。

条件

・年収300万円

・独身

・社会保険料の合計額 439,160円

・その他の特別な条件なし

ヒント

ヒントは、以下の4つです。

これだけの情報で所得税と住民税が計算できるので、まずは自分で計算してみてください。

STEP 1 「給与所得控除」の額を出す

まず、サラリーマンの経費である「給与所得控除」の額を算出します。

収入が300万円ですから、給与所得控除の表から、計算式読み取ると、
収入×30%+18万円
となっているので、
300万円×30%+18万円=108万円
となり、
収入300万円の給与所得控除は108万円であることがわかります。

STEP 2 「所得」の額を出す

収入ー経費=所得  が基本ですから、

サラリーマンの場合は、

収入ー給与所得控除=所得

となります。

300万円-108万円=192万円

所得は192万円となります。

所得税、住民税とも、所得を出すところまでは同じです。

STEP 3 「所得控除」の合計額を出す

「独身」ということは、配偶者も子供もいないので、配偶者控除や扶養控除が使えないということです。

また、このサラリーマンは、生命保険などの保険にも入っていないので、「所得控除」として使える青いカードがほとんどありません。

⇒独身の税金はなぜ高い?

しかし、誰でも所得控除として使える「基礎控除」という青いカードがあります。

⇒基礎控除

「基礎控除」で控除できる額は、所得税では38万円ですが、住民税では33万円と、少し違いがあることに注意してください

同じ「基礎控除」であっても、所得税と住民税では、控除額が異なる

また、この事例のサラリーマンは社会保険料を年間合計で439,160円払っているので、「社会保険料控除」が使えます。
「社会保険料控除」で控除できる額は、439,160円そのものになります。

⇒社会保険料控除

社会保険料控除は、1年間に払った社会保険料の合計そのものが控除額となるのでインパクトが大きい!

以上のことから、この事例の「所得控除」の額を計算すると、

所得税の所得控除額
「基礎控除38万円」+「社会保険料控除439,160円」=819,160円

住民税の所得控除額
「基礎控除33万円」+「社会保険料控除439,160円」=769,160円

となります。

STEP 4 「課税所得」の額を出す

「所得」から「所得控除」を引いて、「課税所得」を出します。

この「課税所得」が税率を掛ける元となる、大事な数字です。

基礎控除が、所得税よりも住民税の方が、5万円だけ少ないため、
課税所得は、所得税よりも住民税の方が、5万円だけ高くなっていることがわかります。

STEP 5 課税所得に「税率」を掛ける

所得税は、累進課税なので税率は表から読み取ります
課税所得が110万円の場合は、税率5%で、
超過累進課税を計算するための控除額は無しなので、

110万円×5%-0円=55,000円

住民税は、誰でも一律10%なので

115万円×10%=115,000円

となります。

STEP 6 微調整をする

税率を掛けた後は、これで終わりではなく、まだ微調整が必要です。

所得税の微調整

税額控除を引く

この事例では、住宅ローン控除のような税額控除はないので、特に差し引くものはありません。

復興特別所得税を足す

誰でも、所得税に2.1%を掛けた復興特別所得税を足す必要があります。

この例では、55,000円×2.1%1,155円が復興特別所得税の額になります。

このため、55,000円+1,155円=56,155円となり、
100円未満の55円を切り捨てた、56,100円が最終的な所得税となります

住民税の微調整

調整控除を引く

まず、事例1の「調整控除」がいくらになるのかを計算します。

⇒調整控除の計算方法

調整控除の計算

事例1の「住民税の課税所得」は115万円でしたから、200万円よりも小さいため、
200万円以下の場合の計算方法」で計算することになります。

事例1の「人に関係する所得控除(人的控除)」は基礎控除のみです。
このため、基礎控除(所得税)38万円基礎控除(住民税)33万円の差である5万円
人的控除の差の合計額」になります。

5万円は課税所得の115万円よりも小さいため
5万円×5%2,500円が事例1の調整控除になります。

従って、所得割の115,000円から調整控除の2,500円を引きます

115,000円(所得割額)ー2,500円(調整控除)=112,500円(調整控除後の所得割額)

均等割を足す

「調整控除後の所得割額」に、均等割の5,000円を足します

⇒均等割とは

112,500円+5,000円=117,500円

最終的な住民税は117,500円となります

解答


年収300万円の独身者の税金は

所得税 56,100円
住民税 117,500円

となります。

社会保険料は439,160円だっだので
手取りは、2,387,240円ということになります。

年収300万円の内訳を円グラフで表すと、

社会保険料 15%
所得税 2%
住民税 4%
手取り 79%

となります。

年収が300万円台の人は、だいたいこの割合になるので、
自分がどれくらいの社会保険料や税金を払っているかはこの割合で換算できます。
特に、手取りは約8割となることを、グラフの絵で覚えましょう。

⇒事例5 年収が600万円に増えたらどうなる?

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